労働安全衛生に関する知識の集約と普及

Marcel Crozet / ILO
世界全体では毎年278万人の労働者が労働災害や業務上疾病で死亡しています。それに加え、労働に関連して3億7400件もの傷害や疾病が発生しています。労働安全衛生(OSH)への投資が持続的発展を達成するカギであるというコンセンサスは得られつつありますが、労働者の安全と健康を効果的に向上させるためには多くの課題が残されています。
日本政府は、労働安全衛生を持続的発展の柱の一本とし、先頭に立ってその促進に取り組んでいます。その一つが、アジア地域の7か国(カンボジア、インド、インドネシア、ミャンマー、ネパール、フィリピンそしてスリランカ)において、現在日本政府が支援している5つの労働安全衛生プロジェクトです。
日本政府が支援するこれらの活動の相乗効果を高め、また労働安全衛生の新たな知識の開拓と共有を目的として、厚生労働省は労働安全衛生知識の集約と普及を目指すプロジェクトに資金を提供しています。
このような背景から、本プロジェクトでは以下の活動を行っています。
・安全衛生に関する知識を収集および集約するとともに体系づけることで、各プロジェクト間での知識の共有と相乗効果を高める
・既存知識のギャップを分析し、それを埋めるための新しい教材の開発やリサーチをすすめる
・労働安全衛生のグッドプラクティスを集め記録して普及する。またそのための具体的プランを作成・実施することで学習やイノベーションを促進する。
本プロジェクトは、労働安全衛生分野のILO旗艦プログラム「Safety + Health for All」の枠組みの下で実施され、特にその知識管理面に貢献しています。また、厚生労働省はガバナンス・三者構成主義局(GOVERNANCE)労働行政・労働監督・労働安全衛生部(LABADMIN/OSH)への技術専門家の派遣を通し、加盟国のニーズに応えるILOの活動を支援しています。